"事業ドメイン"とは?
公開日:2023年5月28日
前回は企業ドメインについて掘り下げた内容の記事を投稿いたしました。
今回は企業ドメインと深い関わりのある事業ドメインについてまとめてみました。
ぜひ何かの参考にしていただければ幸いです!
事業ドメインとは
「事業ドメイン」とは、企業や組織が特定の事業活動を展開する範囲や領域のことを指します。
企業や組織は、特定の業界や市場セグメントで競争力を発揮し、収益を上げるために、自身の事業ドメインを定義します。
「事業ドメイン」は、企業の戦略やビジョン、企業ドメインに基づいて設定、選択されます。
つまり、簡単に言ってしまえば「事業ドメイン」とは企業がどのような事業を行なっているかを示したものと言えるでしょう。
事業ドメインは、企業が競争力を維持し、成長するために重要な役割を果たします。
また、事業ドメインは、企業の戦略や環境の変化に応じて変化する場合があります。
企業は、市場の需要や競争状況の変化を見極めながら、事業ドメインを再評価し、必要に応じて調整や再設定する必要があると言えるでしょう。
ドメインの物理的定義と機能的定義
事業ドメインを定めるにあたって、物理的定義と機能的定義の両方を考慮することが一般的です。
- 物理的定義
ドメインの物理的定義とは、商品やサービスなどのモノを軸に定義することを言います。
物理的なドメイン定義は、顧客に対してどんな事業を展開しているかをわかりやすく示すことができるというメリットがある一方で、事業活動の展開範囲が狭くなってしまい、現在の事業領域を超える発想が出にくいというデメリットもあります。
文房具メーカーを例に物理的な事業ドメインを設定してみましょう。
文房具メーカーですから「文房具の製造」という事業ドメインが定義できそうですね。
「文房具の製造」という事業ドメインの例で言うと、事業領域はとてもわかりやすいですが、新たな事業ドメインを設定しない限りは領域の拡大が見込めず、事業領域を超える発想が出にくくなってしまうと言えます。
- 機能的定義
ドメインの機能的定義とは、製品・サービスが提供する機能・価値などのコトを軸に定義することを言います。
機能的なドメイン定義は、事業において将来における発展の余地を含ませることができるというメリットがある一方で、コトに着目するが故に抽象的な表現になってしまうことが多く、どのような商品やサービスを展開するのかが伝わりづらく、ターゲットになる顧客が不明確になりやすいというデメリットも存在します。
再度、文房具メーカーを例に機能的な事業ドメインを設定してみましょう。
ここでは「使いやすいを提供する」という事業ドメインを定義してみました。
「使いやすいを提供する」という事業ドメインの例で言うと、文房具だけにとらわれずに新たな分野での事業発展性を感じさせることができる一方で、抽象的な表現によりどのような事業を行なっているかわかりづらくなってしまいます。
これらの定義は相互に関連しており、事業ドメインの決定には両方の側面を総合的に考慮する必要があると言えます。
ドメイン定義の考え方
事業ドメインを規定するにあたって、有用なツールとして「エーベルの三次元枠組み」という考え方が存在します。
「エーベルの三次元枠組み」とは、デレク・F・エーベル(Derek F. Abell)という経済学者によって提唱されたもので、「エーベルモデル」や「三次元事業定義モデル」とも呼ばれています。
事業を定義する際にどんな顧客に対して(顧客層)、どんな価値を(顧客機能)、どのように(技術)提供していくかという考え方で、3つの要素をバランスよく考慮することで、方向性や目標を明確にし、企業が持つ独自の価値を最大限に活かすことができると考えています。
- 顧客層
どんな顧客をターゲットにするかを定義します。
先ほどと同じように文房具メーカーを例に考えてみましょう。
ここではターゲットを学生と定義してみましょう。
- 顧客機能
顧客層で定義した顧客が、どんなことに価値を感じるのかを定義します。
学生は壊れにくく、安価で、使いやすい文房具に価値を感じると定義します。
- 技術
顧客機能で定義した価値を実現するためには自社のどのような技術やリソースを活用すればよいのかを定義します。
壊れにくく、安価で、使いやすい文房具を製造するためには以下のような技術、リソースを保有していれば良さそうですね。
- 丈夫な素材の調達や技術改良
- 安価に提供するための大規模な工場の保有
- 膨大な顧客アンケートをもとに分析したデータの保有
まとめ
この記事では、事業ドメインとは何かについて述べてきました。
ここで改めて要点をおさらいしておきましょう!
- 「事業ドメイン」は、企業や組織が特定の事業活動を展開する範囲や領域のこと
- ドメインには、物理的定義と機能的定義が存在する
- ドメインを考えるにあたり、どんな顧客に対して(顧客層)、どんな価値を(顧客機能)、どのように(技術)提供していくかをまとめたエーベルの三次元枠組みという考え方がある
いかがでしたでしょうか。
「事業ドメイン」は企業活動をする上でどのような事業を展開するかを提示する重要な指標になります。
皆さんも「事業ドメイン」を設定する際の参考にしてみてください。
この記事が自社の事業ドメインについて、改めて考え直す機会になれば幸いでございます!
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