"企業ドメイン"とは？

前述で「企業ドメイン」は、企業の活動領域を定めたものとご説明しました。

企業の活動領域が定まることで、企業が目指すべき方向性が見えてきます。

「企業ドメイン」を設定することで、企業の活動に必要な経営資源が明確になり、企業が将来的にどのような経営資源を蓄積すべきかを考えることが容易になります。

また「企業ドメイン」は、企業のアイデンティティを規定しているとも言えます。

「アイデンティティ」とは、「自分は自分であると自覚すること」「連続性のある自己認識を持つこと」「自分の価値を他者に認められること」などを意味する表現である。わかりやすく言えば、自分が何者であるのかを認識して他者と区別できる状態である。

引用）Weblio辞書．『アイデンティティ』．https://www.weblio.jp/content/アイデンティティ,（参照 2023-04-25）

「企業ドメイン」は、企業のアイデンティティを明確にし、企業に所属する社員の一体感の醸成をサポートしてくれる役割を持ちます。

では「企業ドメイン」を定めておかないと、どのようなことが起きてしまうのでしょうか。

例えば「企業ドメイン」を定めていない場合、新たに事業展開する際にそれぞれの事業が全体として一貫性のないものになってしまうリスクがあります。

このような事象を非関連多角化（無関連多角化ともいう）と言います。

非関連多角化とは、自社が現在行っている既存の事業と関連性がない、または低い事業へ進出することで成長していく戦略。例えば、日立造船の杜仲茶事業（その後、小林製薬に事業売却）が挙げられる。 既存の顧客や市場、商品、既存事業との関連が少ない場合は、成功は難しいのが通常である。

引用）グロービス経営大学院．『MBA用語集｜非関連多角化』．https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-12463.html#:~:text=非関連多角化と,のが通常である。　,（参照 2023-04-25）

非関連多角化は、成功すれば事業構造が大きく変わる可能性があるものの、既存の自社の強みを活かせないことが多いために、一般的にリスクの高い戦略と考えられています。

「企業ドメイン」を設定することで、リスクの高い非関連多角化に陥ってしまうことを防ぎ、既存の経営資源やノウハウを活かしやすい経営を推進しやすくなります。